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悪魔の手紙1/人間を堕落へ導く手法

悪魔の手紙/C.S.ルイス著
新米悪魔がベテラン悪魔から人間を誑かす(堕落させる)
方法を教育するという内容が書かれた書籍より


お前は悪魔養成所で人間の波動法則ということについて習わなかったのかな。
実は人間は半霊半獣の両棲動物なんだ。
人間は、霊として永遠の世界で生きながら、
同時に獣としては時間の中に住んでいるんだ。

霊としての人間は永遠の対象に向かうが、その肉体、情念、想像などは
時間に支配されているので絶えず変化している。
時間の中に居るということは変化を意味するんだよ。

人間は谷底に落ち込んだら、すぐに上に戻ろうとする力が働くものだ。
自分の仕事ヘの興味とか、友情とか、性欲などは、この世で生存している限り、
上昇したり、下降したりするものなのだ。
感情と肉体が豊かに活気に浸れている期間と、
無感動で無気力な期間とが繰り返すこと、
それをわれわれは精神の波動運動と呼んでいるんだ。
要するに、人間は落ち込んだり、張り切ったり、
上下運動を繰り返すということが不変なんだ。

敵(=神)がこんな胸くその悪い動物を造ろうと決心したことが、
われらの父が神への不信感を懐いた理由の一つなんだ。
お前のクライエントが今経験している無感動と無気力の状態を、
お前はおめでたくも自分の手腕と考えているようだが、そうではないんだ。
それは単に一つの自然現象なので、われわれはそれを
活用しなければ何の役にも立たないことなんだ。

人間の精神の波動運動をいかに利用するか、その方法を教えておこう。
まず最初にしなければならないことは、
敵がそれをどうしようとしているかを探り、
その上でその反対に出なければならない。

さて敵は一つの魂を確実に自分のものとしようとする時、
快調なときよりも、落ち込んでいるときに、働きかけるのだ。
<註:ここでいう「敵」とはキリスト教の神である>

先ず始めにはっきりしておかなければならないことは、
われわれにとって人間どもは、われわれの食い物だということなのだ。
食い物という意味は、人間の意志をわれわれの意志の中に吸収し、
人間を犠牲にすることによってわれわれ自身の存在の幅を広げることである。

ところが、敵が人間に求める従順は全く違う。
人間に対する敵の愛についての物語や、
彼に仕えることこそ完全な自由であるというような話は皆、
単なる宜伝ではなくて、われわれがぞっとするような本当のことで、
われわれはこの事実に直面しなければならないのだ。

以上を総括すると、われわれが欲しいものは、
最後には食い物となりうる家畜であるが、
敵が欲しいものは、最後には子となりうる下僕なのだ。
われわれは吸収したいが、敵は与えたいと願っている。
われわれは空っぽであるから満たされたいと思っているが、
敵は満ち足りているから溢れ出てくるのだ。

要するに、われわれの戦争の目的は、
地獄のわれらの父が他者を全部彼自身の中に
引きいれてしまう世界を得ることであるが、
敵が望むのは、敵と交わりの世界を保ちつつ、
しかもその独自性を保つことなのだ。

この戦いにおいて、われわれが有利であるのは、
ターゲットが落ち込んでいるときだというのは、
ここである。敵は、人間の魂に自分の存在を知らせないのだ。
知らせようと思えば、いつでも、
どんな方法でも知らせることが出来るのに、それをしない。

何故なのか。実はここに敵側の弱点があるのだ。
敵は自分の存在を、絶対的に証明したり、
反論の余地がないほど明らかにしたりすることは、
敵の戦争目的から見て利用できないのだ。

このことがわれわれにとっての二つの武器である。
敵は人間の意志を踏みつけにしたら、元も子もなくなる。
敵には暴力を用いることが出来ない。
敵が出来ることは、ただ求愛するだけなのだ。


■C.S.ルイス『悪魔の手紙』解説 1/4(第1信〜第10信)/ぶんやさんち
 https://blog.goo.ne.jp/jybunya/e/d875d5ebe8ccc6fa0d83b2d402464f1c
より抜粋


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